盲獣

「盲獣」は江戸川乱歩さんの作品です。

この本は、すごく吐き気催すぐらいの話でありながら、一生忘れられない本の一つになったのを覚えてます。

乱歩さんは、この作品は失敗作と言っていましたが、私はとても好きな作品です。乱歩さんの表現力と、グロテスクな描写の中にある耽美さや美しさが私の好きなポイントの1つです。

あらすじは、浅草歌劇の踊り子である水木蘭子は、ある日恋人の使いと偽る自動車によって、見知らぬ地下室へと連れ込まれる。その地下室は、女性の体を切り取ってできたオブジェがたくさんある部屋であった。オブジェは色合いは美しくないが、触ると何とも言えない心地の良い。この地下室の主は、盲目の男であり、度々蘭子の前に現れていた。生まれながら全盲の男は、慰めとして「触覚」の世界を見つけ、父の莫大な遺産を使い、「触覚」の美術作品を作り続けているという。蘭子は、始め困惑し、触覚の世界を否定していたが、徐々に魅せられていき、彼と共に地下室で生活していく。しかし、蘭子に飽き始めた彼はその本性を見せ始める。そこから、盲目の男は最高の「触覚」を求め、人々を殺し始める。

個人的に好きな作品なので、あらすじが長くなり過ぎました。でも、それぐらい好きなんです。どの辺が?と聞かれると、触覚の世界に焦点を当て、その中で如何に手触りの良さを読者に表現するかっていう所が、リアルに感じられるところ好きです。

ただのグロテスクなら、あぁそうってなるのですが、乱歩さんのグロの表現は、文字から映像に変換できるぐらいリアルなんです。特に前半部分は、顕著に出ていると思います。地下室の部分は、読んでいくと本当にそのような部屋があって、蘭子と盲目の男はこうなっている…と映像で見えるぐらいの表現でした。

後半部分も、なかなかグロテスクを発揮してくれました。ネタバレになりますが、普通に人の指を切って、それをソーセージとして人に売っていました。それぐらい、凄まじいことをしています。

グロテスクな表現が苦手な人は、あまりお勧めできませんが、グロ耐性がある方は気になれば読んでみてはいかがでしょうか?

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