大地の子

この小説は、文春文庫出版の、山崎豊子さんの作品です。

この物語の主人公、陸一心は、敗戦直後に中国で祖父と母親を失い、妹とは生き別れになった日本人戦争孤児である。日本人であるがゆえに、文化大革命のリンチを受け、内蒙古の労働改造所に送られ、スパイの冤罪をかけられ15年の刑を宣告された。養父の陸徳志が、一心のことを思い、冤罪を証明しようと努力し、7年目に一心は普通の生活に戻ることができた。元の職場に復帰した一心は、刑を受けていた時の命の恩人である月梅結婚しとし、日本語通訳として日中共同の一大プロジェクトである製鉄所建設チームの一員として働くことになる。しかし、一心には様々な困難が降りかかってくる。中国残留孤児の波乱万丈の物語である。

この小説は、全4巻で成り立っており、ボリュームが凄かったです。作者の山崎さんが、多数の関係者を取材し、小説的に構成したものであるから、かなり史実に基づいて作られており、内容も濃かったです。

あらすじに言われている通り、凄く波乱万丈でした。読んでいて、自分が耐えられないって思うことが多かったです。でも、このような人生を歩んだ人がいるかもしれないと思うと、心が苦しくなりました。ここまで、重厚な作品を読んだのは初めてでした。

日本人であるけど、中国で育った陸一心。中国からは、日本人であるからスパイと思われたり、見下されたり、かなり理不尽な思いをしています。あらすじにもあるように、日本人であるからっていう理由で、スパイとして刑務所に入れられるなんて、しかも証拠はなし。今を生きてる自分とっては、ありえないと思いましたし、それが50年前にそういうことがあったという事実が、なんか嫌だなぁと思いました。

歴史の本は、あまり読まないのですが、この本はすごく引き込まれて数日で一気に読んでしましました。一度、歴史の教科書を読んでから読むとより深く読むことができると思います。

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