僕は勉強ができない

「僕は勉強ができない」は、新潮文庫出版、山田詠美さんの作品です。

このお話を知っている人は多いと思います。山田詠美さんの作品は、問題集や試験によく使われており、この本を知ったのも、小学生か中学生の時に文章問題で出題され、内容が面白かったので全文読みたいなと思って、購入しました。

このお話は、主人公の時田秀美くん17歳が勉強や人間関係、恋愛などについてあーだこーだ考えているお話。あまり難しくなく、けど考えさせられるようなことを書かれており、中学生、高校生、大学生と、年を取るにつれて見方が変わる作品です。

一番好きなのは、「〇をつけよ」のお話。ワイドショーで、朝帰りした既婚の女優と歌手、子殺しについて話されていた。二人は、朝帰りしたから不倫だと決めつけ、面白おかしく取り上げられ、子を殺した親がすべて悪いと言っている。その報道に、秀美君の母は嫌悪をあらわにする。「個人の事情なんて誰にもわかんないんだから。それなのに、皆、丸とかばつとかつけて決めようとする。不倫が不道徳なんて言うやつなんて大人じゃないわ」(p.108 l4~5)と言っている。ここの文章が凄く心に衝撃を受けたと思います。それまでは、大勢がそういうから”正しい”、”正しくない”と思っていたのですが、本当にそうなのか?と疑う事が必要だと思いました。

結局は、他の人のことなんて深く知れない。(何でも話す親友でも、完全に理解なんてできませんし)知れるのは、どのような事があったか、どう思っていたかぐらい。まだ、それを知って「私はこう思う」と意見を述べるのはいいと思うのですが、それすら知らず、ある一面だけを見て、「これは悪いことだ!だめなことだ!」というのは無責任だと思います。裁判官でもあるまいし。勝手に評価してその人を貶めるのはどうかなと思えるようになりました。そして、自分も勝手に何も知ろうとしないで判断するのはしないようにとも決意したお話です。

このように、自分の考えにいい刺激を与えてくれる話が収録されています。このほかにも、人間関係や恋愛について書かれているので、気になる方は、お手に取ってみては?

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